月経関連片頭痛

それは「生理痛」ではなく、片頭痛かもしれません

  • 生理のたびに、決まって頭痛が来る
  • 痛みが強く、いつもの薬が効きにくい
  • その日は予定を入れられない。寝込んでしまう
  • 「毎月のことだから」「体質だから」と、そのままにしてこられた方へ
生理の前後に起こる頭痛は、月経に関連した片頭痛であることが少なくありません。
生理に伴う不調の一部として受け止められてきたため、頭痛そのものが治療の対象になると知らないまま、長く過ごしてこられる方が多くいらっしゃいます。しかしこれは、診断名のつく頭痛であり、治療の方法がある頭痛です。

なぜ、生理のときに起こるのか

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、月経周期に合わせて増減しています。このエストロゲンが、月経の直前に急激に低下する、この落ち込みが引き金となって、片頭痛の発作が起こりやすくなると考えられています。つまり、原因は「生理そのもの」ではなく、その前後に起こるホルモンの変動です。
だからこそ、
  • 初経の頃から頭痛が始まった
  • 妊娠中は頭痛が軽かった
  • 出産後、また戻ってきた
  • 更年期にさしかかって、頻度や強さが変わってきた
といった経過をたどる方が多いのです。人生の節目ごとに頭痛が変化するのは、決して気のせいではありません。

こんな特徴があります

月経に関連する片頭痛には、いくつかの傾向が知られています。
起こる時期 月経が始まる2日前から、月経3日目ごろまでに集中します
前兆 前兆(ギザギザした光が見えるなど)を伴わないことが多いとされます
痛みの強さ ほかの時期の発作より強く出る傾向があります
持続時間 長引きやすいとされています
お薬の効き ほかの時期に比べて効きにくいことがあります
ぶり返し いったん治まっても、再び痛み出すことがあります
生理のときの頭痛だけ、どうしても薬が効かない、そう感じておられるのは、思い過ごしではありません。実際に、この時期の発作は治りにくい傾向があります。
なお、月経の時期だけに起こる方と、ほかの時期にも起こるけれど月経時に集中する方とがあり、医学的には区別されています。どちらであるかによって、治療の組み立て方が変わってきます。

まず、記録から始めましょう

この頭痛の診断で、もっとも役に立つのが記録です。
  • 頭痛のあった日
  • 月経のあった日
  • お薬を飲んだ日
この3つをカレンダーに印をつけるだけで構いません。2〜3周期分あれば、月経との関連がはっきり見えてきます。
「なんとなく生理のときに多い気がする」と感じている場合には記録をつけるとよりはっきりします。そしてその関連がはっきりすれば、その周期に合わせた対策を考えられるようになります。
当院では頭痛ダイアリーをお渡しすることもできます。すでにお使いの生理周期アプリの記録でも構いません。診察の際にお見せください。受診をまでに記録を始めておかれると、より早期の診断が可能となります。

治療の考え方

発作が起きたときのお薬

痛み止めのほか、片頭痛に対してはたらくお薬(トリプタンなど)を用います。 前述のとおりこの時期の発作は治りにくいことがあるため、
  • お薬の種類が合っているか
  • ぶり返しへの備えができているか
  • 吐き気で飲めていないのではないか
といった点を、ひとつずつ確認していきます。「効かない」の理由は人によって異なり、変えられる部分があることも少なくありません。月経に関連する片頭痛には、ほかの片頭痛にはない特徴があります。いつ来るか、おおよそ予測できる可能性があります。この特徴を活かし、発作が起こりそうな期間に絞って対策をとるという考え方があります。毎日お薬を飲み続けるのではなく、必要な数日間に集中する方法です。
どのような方法が適しているかは、周期の規則性、頭痛の程度、ほかの時期の発作の有無、ご年齢やご希望によって異なります。診察の際にご相談ください。

月経以外の時期にも頭痛がある方

月経時以外にも発作が多い場合には、発作全体を減らす予防治療が選択肢になります。

婦人科で治療を受けておられる方へ

低用量ピル(経口避妊薬)や、ホルモンを補うお薬を使用中の方では、頭痛の起こり方が変わることがあります。
  • ピルの休薬期間に頭痛が起こりやすくなる方がいらっしゃいます。
  • 開始後に頭痛が増えた、あるいは軽くなった、という変化はどちらもあり得ます。

特に確認していただきたいこと

前兆(ギザギザした光が見える、視野が欠けるなど)を伴う片頭痛をお持ちの方は、ピルの使用にあたって注意が必要とされています。
前兆のある片頭痛では脳梗塞の頻度がやや高くなることが知られており、そこに喫煙やピルの使用が重なると、リスクの程度が変わってきます。
  • ピルを使用中、または検討中の方で、頭痛に前兆がある方は、婦人科の先生にその旨をお伝えください。
  • ご自身の頭痛に前兆があるのかどうか、判断がつかない場合は、当院でご確認いただけます。
婦人科での治療と、頭痛の治療は、どちらかを選ぶものではありません。両方を続けながら、うまく組み合わせていくことが目標です。必要に応じて、婦人科の先生と連携させていただきます。

妊娠をお考えの方、妊娠中・授乳中の方へ

妊娠中は、多くの方で片頭痛が軽くなる傾向があります。ただし、すべての方に当てはまるわけではありません。
この時期は使用できるお薬が限られますが、アセトアミノフェンのように、比較的使いやすいとされるお薬もあります。

妊娠をご計画中の方

現在お使いのお薬について、事前にご相談ください。あらかじめ整理しておくことで、妊娠が分かってから慌てずに済みます。

妊娠中・授乳中の方

我慢し続けることが最善とは限りません。時期や状況に応じて選択肢をご説明します。
痛みを抱えたまま過ごすことも、心身への負担になります。「相談してよいこと」だと思っていただければ幸いです。

更年期の前後で、頭痛が変わってきた方へ

閉経に向かう時期には、エストロゲンの変動が不規則になります。
このため、一時的に頭痛が増えたり、パターンが変わったりすることがあります。「これまでと違う頭痛が出てきた」と感じられるのは、その影響かもしれません。
多くの場合、閉経後には落ち着いていく傾向があるとされています。ただし、この年代は別の原因による頭痛にも注意が必要な時期です。
頭痛の性質や頻度が明らかに変わってきた場合は一度ご相談ください。
病気の早期発見・予防に定期的なMRI検査をおすすめします。
頭痛、めまいなど症状のある方は、保険適用でのMRI検査が可能です。
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