話しにくい・言葉が出にくい

こんなこと、ありませんか?

  • 言いたい言葉が出てこない
  • うまく発音できない、ろれつが回らない
突然ろれつが回らなくなった場合は脳卒中の可能性があります。すぐに救急車を呼んでください。 徐々に症状が目立ってきた場合は、脳や神経の病気による症状の可能性があります。病気によって特徴的な話しにくさがあり、原因の場所を判断する手がかりになります。

考えられる主な原因

  • 脳の病気:脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、パーキンソン病
  • 神経の変性による病気:認知症、原発性進行性失語、筋萎縮性側索硬化症
  • 筋肉・全身の病気:重症筋無力症、低血糖発作

言語障害の種類

ひとくちに「話しにくい」といっても、言葉を思い出したり組み立てたりする働きの障害と、口や舌を動かして発音する働きの障害では、原因となる場所も対応も異なります。
  • 失語症:言葉そのものを扱う機能の障害
  • 構音障害:発音・発声の機能の障害
  • もの忘れによるもの:記憶や意味の障害に伴って言葉が出にくくなるもの

失語症

言葉を「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった働きを担う、脳の言語中枢(多くは左半球)が障害されて起こります。

主な症状

言いたい言葉が出てこない、物の名前が思い出せない(喚語困難)、別の言葉に置き換わってしまう、相手の言うことが理解しにくい、文字が読みにくい・書きにくい、といった症状が現れます。

タイプ

話す量が減りたどたどしくなるものの理解は比較的保たれるタイプと、流暢に話せるものの内容が伝わりにくく理解も障害されるタイプがあります。障害された脳の場所によって現れ方が異なります。

主な原因

脳梗塞・脳出血が最も多く、そのほか脳腫瘍、脳炎、頭部外傷、進行性の変性疾患(原発性進行性失語)などがあります。

周囲の方に知っておいていただきたいこと

言葉が出てこなくても、話の内容は理解できている方が多くおられます。「わかっていない」と決めつけず、ゆっくり短い言葉で話しかけ、身振りや文字・絵を併用すると伝わりやすくなります。

構音障害

言葉は思い浮かんでいるのに、口・舌・のど・声帯をうまく動かせず、はっきり発音できない状態です。

主な症状

ろれつが回らない、発音が不明瞭になる、声が小さい・かすれる、話す速さが不安定になる、飲み込みにくさやむせを伴う、といった症状が現れます。

原因による特徴

脳卒中では突然ろれつが回らなくなります。パーキンソン病では、声が小さくなり、抑揚のない単調な話し方になります。小脳の病気では音の強弱や間隔が不揃いで途切れがちな、酔っ払ったような話し方になります。重症筋無力症では、話し続けるうちにだんだん聞き取りにくくなり、しばらく休むとまた話せるようになるのが特徴です。筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、舌や口の動きが悪くなり、話しにくさと飲み込みにくさが徐々に進行します。

注意していただきたいこと

構音障害は飲み込みの障害(嚥下障害)を伴うことが多く、誤嚥性肺炎の原因になります。むせが増えた、食事に時間がかかるようになった場合は、あわせてご相談ください。

もの忘れ

言葉が出にくい背景に、記憶や言葉の意味そのものの障害が隠れていることがあります。「人や物の名前が出てこない」ことに加えて、同じことを何度も尋ねる、日付や予定がわからなくなるといった変化がある場合は、認知症の初期症状の可能性があります。

どうして言葉が出てこなくなるの?

私たちが何気なく話している間、脳の中では次のような働きが順番に、しかも一瞬のうちに行われています。
  • 伝えたい内容を思い浮かべる(前頭葉=考えをまとめる場所)
  • その内容に合う言葉を選び出す(側頭葉=「言葉の辞書」がある場所)
  • 文法にそって言葉を並べる(言語中枢=言葉を組み立てる場所)
  • 口・舌・のど・呼吸の動きに指令を出す(運動野=体を動かす指令を出す場所)
  • 実際に音として発する(口・舌・声帯・呼吸の筋肉が協調して動く)
このうち①でつまずくと、伝えたい内容そのものが浮かびにくくなります。認知症などでみられ、多くは「同じことを何度も聞く」「もの忘れが増えた」といった変化として気づかれます。②・③でつまずくと「失語症」、④・⑤でつまずくと「構音障害」が起こります。
脳梗塞や脳出血ではこの経路が突然断たれるため、ある日を境に話せなくなります。一方、パーキンソン病や認知症などでは経路が少しずつ傷んでいくため、ご本人やご家族が気づかないうちに、ゆっくりと進行します。
ですから、診察では話すまでの5つの段階のうち、どこがうまく働かなくなっているのか、そしてどのように始まったのかを見極めていきます。いつ頃から、どんなふうに話しにくくなったのか、ご本人が説明しにくい場合も多いので、ご家族から見た変化もあわせてお聞かせください。
病気の早期発見・予防に定期的なMRI検査をおすすめします。
頭痛、めまいなど症状のある方は、保険適用でのMRI検査が可能です。
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